ブログ

 ちょっと変わった？というのは、
そもそも、彼はうちの商品を買いに来たわけではなかったからです

何をしに来たのかというと、そう、自分の商品を売りに来たのです

何を売りに来たのかというと、スイーツ

「こんにちは！」と言われ、彼に目を向けた瞬間の私の頭の中は、「？？？？」

彼は人力車を引くような人が来ている服装で、真っ黒に日焼けした顔で、
大きなトレーをもってニコニコしながら店先に立っていました。

「なんでしょう？」と怪訝そうに尋ねる私に、笑顔を絶やさず、でもちょっと遠慮気味に、
自己紹介をして入店していいかと尋ねてきました。

基本的には、こういう形で販売に来られた方は、お断りしています。
なぜなら、後で断りずらいから。断るに決まってるから

でも、今日は、一言一言のやりとりの節々に、一生懸命さと不器用さが垣間見れてしまい、
悪い人じゃなさそうだし、断ったらかわいそうという想いがジワジワと湧いてしまい
「どうぞ」と入店をＯＫしてしまいました

商品の説明をしてくれて、いくつか質問するとそれにも丁寧に応えてくれました。
その間、「買いたいと思うものがなかったら、どうしよう。。」
「いらないって、ストレートに言ったら傷つけちゃうんじゃないか？」
というのが、頭の中をグルグル回っていました

でも、ひとつ、これなら買っても良いかなと思えるものがひとつありました

私は、基本的にこういった類の販売では買わない主義なのですが、
今日は、買ってしまいました

仏様に何かお供えしたいなぁと思っていたのと、主人が甘いものが好きだからというのと、
値段が思っていたほど高くなかったからという理由というか、言い訳というか・・・？

とにもかくにも、商談がひと段落して、お互いホッと一息

ふと、こんな暑い日に外回りなんて大変だろうなぁと思って、試飲用の冷たいハーブティーをすすめて、
彼に話しかけました。

私が、「どうしてこの仕事を始めたの？」と尋ねると

彼はちょっと考えてから。。。
「僕、もともと内気で根暗なんです。それで、（そんな）自分を変えたくて。」と答えてくれました。

意外な答えに驚きました
彼が、一瞬答えに詰まったので、
その一瞬で、きっと大した理由なんかなかったのだろうと思ってしまっていたのを、
良い意味で裏切られたからです
それと、素直に自分のことを話してくれたことが、なんだか清々しく感じられ、高感度がアップしました

そして、さらに「へ～！そうなんだぁで、どう？？変われたの？」と尋ねると。

「はい、始めたころは笑顔もできなかったんです」とほっぺをつねりながら答えてくれました。

なんという素朴な青年なんだろうと更に高感度がアップしてしまいました（笑）☆

梶：「そうなんだぁ！じゃあ、（変わったことに）周りの人はびっくりしてるでしょう？」
彼：「はい、昔の僕しか知らない人はびっくりしてます。」
梶：「そっかぁ、がんばったんだねぇ、すごいねぇ、人って変わるんだねぇ～」
彼は自信満々の顔で「はい！」と答えてくれました

なんだか、一番初めの一生懸命さと不器用さの感じの理由が妙に納得できて、
この数カ月自分を変えようとすごく頑張ったんだろうなぁというのもヒシヒシと伝わってきて、
なんだか私の方が泣けてきてしまいました（笑泣）

彼は、福島県いわき市出身で京都の仏教大学に進学後、今の仕事に就いたそうです。
震災の時は実家にいたそうです。
実家は真ん中の柱が曲がっただけで済みました、親戚の家は津波で流されました。
そういう人たちに比べたら、全然大したことないですと話していました。

一番初めに店先で「こんにちは！」と言われたときには、
まさか、こんな展開になるとは思ってもいなかったのに、こころに「じーん」とくる出会いでした
なんとも言葉にできない、実直さの塊のような人で、心が洗われました

そして、「人は変わりたいと思って、行動すれば、変わるんだ」ということを教えてもらいました